グレイ編1日目

ということでやっと5人目。


これでとりあえず折り返し地点ですなぁ…
先がまだまだ長いのぅ…


そして今回はかなり異色な試みをしてたり。



今回は小説風イベントチャート。
無理ありますね、はい。
とりあえず今日だけかもしれんがどうぞ。


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やっぱりマルディアス。
今回はある冒険者の物語になるだろう。
その男の名は―――





俺の名はグレイ。冒険者だ。
今回の冒険は財宝が眠るというリガウ島への挑戦だ。
仲間のガラハド、ミリアムと共に船でここジェルトンの町へ着いたところだ。
ガラハドはローザリアの聖戦士と呼ばれ腕はかなりのものだ。
ミリアムも北エスタミルで培った火の術でのサポートは一級品といえる。
俺の腕はどうなんだ? だと?
これからの冒険で見せてやる。


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さっそくだがまずは情報収集が財宝を探すためには肝心だ。
リガウ島の広い草原に財宝があるといわれているのは昔からだが、
草原の覇者である恐竜や多種多様なモンスターたちのせいで
いまだにその財宝は眠ったままだといわれている。
「おい、グレイ!」
ガラハドの呼び掛けにグレイは、
「何だ?」
ぶっきらぼうに返事をする。
「こっちのPUBのマスターが詳しい話を知ってるみたいだぞ」
「すぐ行く」
グレイはそう言うとミリアムにも声をかけた。
「ミリアム、ガラハドが呼んでいるぞ」
すると元気な声で返事が返ってきた。
「ちょっとまってよ!今行くからさ」
町の人に話しを聞いていたミリアムが小走りに走ってくる。
そんなミリアムを見ながらグレイはPUBへと入った。


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PUBのマスターの話では草原の財宝は深い穴にあるらしい。
浅い穴は恐竜の住処になっていて間違えて入ったら、
どうなるかわからないとのことだ。
また、花に囲まれた場所の穴が深いという話だった。
「これだけわかればすぐわかるだろう」
ガラハドとミリアムもグレイのその言葉にうなずく。
PUBを出て行こうとする一行にPUBのマスターが
「間違っても恐竜に手だしするんじゃないぞ」
「いくら命知らずの冒険者でもすぐさまあの世行きだからな!」
その言葉にガラハドが、
「無論、無駄な殺生はしないつもりだとも」
ガラハドの自信たっぷりの顔にマスターもやれやれといった顔だ。
「気をつけてな…」


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途中で遭遇した恐竜は思っていたよりも大きく、
今のパーティでは無理があると判断して先を急いだ。
マスターの言った通り、花に囲まれた場所の穴は深そうだ。
意を決して穴へ飛びこむとそこは先の見えない洞窟になっていた。
「暗いわね…」
ミリアムがそう言いながら術を唱える。
ヘルファイア!!』
持ってきてあったたいまつに火を灯し明かりにする。
「こういうときは便利だな」
「まったくだ、戦闘じゃなかなか打たせてもらえんからな」
二人の意地悪な言葉にミリアムは怒りながら先へすすむ。
「さっさといくわよ!」


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洞窟の中を歩き1F、2Fと探索しそこそこの戦利品を得ることが出来たが、
いまだ財宝と呼べるほどのものは手に入っていなかった。
「この洞窟はどこまで続いているのだろうか」
暗い洞窟を歩き続けてきたせいかガラハドが愚痴をこぼした。
「ほんとよね〜早く財宝見つけて外に出たいわ」
ガラハドの言葉を聞いてミリアムもため息混じりの愚痴だ。
「もう少し調べてみよう、きっと財宝まであと少しのはずだ」
グレイが二人を励ます。
その時だった、
「ん?あれはなんだ?」
グレイの目に止まったのは地面に刺さった古びた刀だった。
「随分古いもののようだな…」
ガラハドは古い刀の仔細を調べるために顔を近づけた。
「そんな汚い刀どうするつもりなの?グレイ」
ミリアムはまったく興味がないのかまるでゴミ扱いだ。
そんな二人をどけてグレイは一気に刀を引き抜き、持ち上げた。
「ムッ」


『偉大なるリガウの戦士の血を継ぐ者よ。
我が栄光と挫折の物語を聞くが良い。
かつてこの地には王国があり、
誇り高い戦士たちによって守られていた。
だが、永遠に続くかと思われた繁栄も
陰りが見え始めた。
私は国と誇りを守り抜くために
新たな刀を鍛え上げることを思い立った。
刀には鍛えた者の魂が宿るという。
私の魂を宿したかったのだ。』


グレイは辺りを見まわした。
今なにか声がしたような…
「今なにか言ったか?」
グレイが二人に聞くが、二人は首を横に振る。
気のせいか…
『我を青銅にて鍛えよ!』
まさか…この刀の声か…?
「この刀から…声が聞こえるぞ」
グレイのその言葉にミリアムが叫ぶ。
「えぇ〜!ありえないわよ!」
「だってそれ刀よ?か・た・な!モンスターならまだしも…」
ガラハドは意外にも落ち着いた返事を返した。
「で、その刀はなんて言ってるんだ?」
「この刀を作った鍛冶屋の魂が語りかけてきたようだった」
グレイがそういうとガラハドが、
「ふむ、刀には鍛えた者の魂が宿るという話を聞いたことがある」
「その鍛冶屋はその刀になにか大きな願いを託したかったのかもしれん」
ミリアムがおもしろくなさそうな顔で二人のやりとりをみている。
「で、財宝がそれなわけ?」
「わからん…ここを最後まで探索してみよう」
グレイは刀をしまい、たいまつを片手に奥へ進んでいった。


刀を発見した場所からしばらく歩くとちょっと広くなった、
行き止まりへと到達した。
「ここで行き止まりみたいね…」
「やっぱりその刀がここの財宝かぁ…がっかり」
ミリアムは肩を落として近くの岩に座り込んだ。
が、その時だった。
ミリアムが座った岩は岩ではなく、座りこんで寝ていた
ゴブリンソルジャーだった。
頭をお尻の下敷きにされた奴は頭に来ているらしく
怒りのまなざしをミリアムにぶつける。
「な…なによぅ!レディのお尻に触れたんだからこっちが怒るところよ!」


グァァァォォォ!!!


小さなゴブリンの体から発せられたとは思えないほどの大声で
叫び声を上げると、どこから現れたのかゴブリンが集まってくる。
「こいつらを倒してさっさとここから出よう!」
ガラハドが叫びながら剣を抜く。
グレイもまた腰の剣を無言で引き抜き切っ先をモンスターへ突きつける。
「おまえ達に罪はないがここで死ぬわけにはいかんのでな」
その言葉を合図にミリアムが1匹のゴブリンへと術をかける。
ガラハド!ミリアムのサポートをしながらゴブリンを頼む!」
「俺は親玉を叩く!!」
「わかった!こっちはまかせろ!」
ゴブリンは手にもった棍棒で力任せに殴りかかってくる。
それをガラハドは巧みに剣でそらし斬り付ける。
そこへ詠唱の終わった火術が発動!
ヘルファイア!!』
ガラハドはゴブリンからさっと体を離し火の塊はゴブリンを丸焼きにする。
「一丁上がり!」
ミリアムが声を上げる。
「さっさと次の術を唱えろ!」
ゴブリンに囲まれたガラハドが叫ぶ。
「うるさいわね!わかってるわよ!」
ミリアムは次の詠唱を開始した。
グレイは親玉であるゴブリンソルジャーと戦っていた。
ゴブリンソルジャーは武器が剣であり棍棒よりも攻撃力が高い。
だが、結構力はあるが武器が剣になっただけでゴブリンと大差はない。
グレイは敵の様子を見ながら剣を数回切り結ぶと一気にたたみ掛けた。
『衝突剣!』
急に閃いた技を敵に放ち敵は斬りつけられ、壁へと叩きつけられる。
ゴブリンソルジャーは倒れて起き上がる気配はなかった。
その後は残ったゴブリンを3人で追い払い、戦闘は終わった。
「ふー、二人ともお疲れ様!」
ミリアムが鞄から出した水を二人に配る。
グレイはゆっくりと喉を潤し、ガラハドは一気に飲み干し、大きく息を吐いた。
「んぐんぐ、プハーーー」
ガラハド親父くさーーい」
ミリアムのあまりのセリフに、
「親父くさいとはなんだ親父くさいとは!」
「これでもまだ若いんだぞ!」
ガラハドは怒鳴った。
それを聞いたミリアムは、
「だってその頭じゃねぇ…?」
それを聞いたグレイは笑いだした。
「くくく…」
「グレイ!何笑ってるんだ!」
「いや…くく…なんでもないよ」
そんな時、ミリアムがまわりをみて叫んだ。
「あーー!あそこみてよ!」
ミリアムが指差した場所はゴブリンソルジャーが叩きつけられた壁で
そこにぽっかりと穴が空いており、奥の方には光まで差しこんでいる。
「しかもあそこに見えるのは宝箱じゃないか?」
三人は宝箱へと走り寄り、そして宝箱を空けた。
「こりゃ…結構入ってるな」
「やったわね!これが財宝よ、きっと!」
「そうだな」
宝箱にはここに来るまでに手に入った金額の倍以上は入っていた。


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ギィィィ…
「いらっしゃい!」
扉を開けて入ってきたグレイ達を見てPUBのマスターは、
「随分とまぁ…汚くなって帰ってきたな。」
「で、結果はどうだったんだ?」
その言葉にミリアムがにんまりと笑いかけた。
「ぉ、その顔じゃいいもんが見つかったんだな?」
マスターの前に三人は座ると手に入ったものの一部を見せた。
その中からガラハドがいくらかをマスターに渡す。
「ぉぃぉぃ、ずいぶんくれるな…そんなに儲かったのか?」
「まぁな、マスター今渡した金の一部で良い酒をくれ」
ガラハドは酒を注文し、グレイとミリアムも飲み物を注文した。
「これだけ貰ったらよほど良い酒をださなきゃならんな」
そういって酒場のマスターは棚の奥から酒を出して、
ガラハドのグラスへと注いだ。
「ほー…ずいぶんいい匂いのする酒だな」
「俺の取っておきの酒よぉ、味わって飲んでくれよ」
「ねぇ私の飲み物はまだなの?」
ミリアムがしびれをきらしてマスターを急かす。
「まぁちょっとまってくれ、今出すよ」
グレイとミリアムに飲み物がだされ、全員が喉を潤す。
「ところでこれからどうするんだ?」
マスターがグレイに話しかける。
「休憩したらメルビルへ行こうと思ってる」
「さすがにこの汚いなりじゃメルビルへ行けないもんね」
「まったくだ」
全身土で汚れた三人は宿屋で休憩し、汚れを落とした後、
メルビル行きの船へと乗り込んだ。
船は順調に進み、無事メルビルへと到着した。



「さて、これからどうする?」
グレイが二人に背を向け、海をみたまま聞いた。
「ふところも温かくなった。一旦、解散するのはどうだろう」
「私はクリスタルシティに行って武器のスキルを覚えたい。」
そんなガラハドにミリアムも賛成した。
「そうだね〜、あたいも久しぶりにエスタミルに帰ろうかな〜」
「新しい術も覚えたいし、火の術だけじゃ、この先厳しいもんね」
「あんたはどうするの、グレイ?」
「俺は、しばらくここに残る」
ガラハドとミリアムの二人は顔を見合わせる。
「そうか。ではさらばだ、また会おう」
「ミリアム!ローバーンまでは一緒だろう?」
ガラハドはミリアムを途中まで一緒に行こうと誘う。
「あんたと二人旅か、参ったな。でも仕方ないわ」
「一人よりマシよね」
「グレイ!今回の冒険も楽しめたよ。また一緒に行こうね」
「バイバイ!」
背を向けたままのグレイに別れを告げ、二人は歩き出した。
「あいつは帝国の出身なのか?」
ガラハドはミリアムに問い掛ける。
「わかんない。彼、何にも話してくれないんだもん」
グレイはそんな二人が見えなくなるまで海を見つめ続けていた。