グレイ編2日目

実際はもっと進んでます。


が、あほな書き方をしているせいで全然進んでいないとしか…
そろそろ面倒になってきました(ノ∀`)



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前回の冒険で手に入れた古い刀。
ガラハド達が宿屋で休憩している間にジェルトンの
鍛冶屋に見てもらい、打ちなおしをしてもらった。
鍛冶屋の話しによると、最初はぼろぼろの刀だと思ったらしいが
打ちなおしてみると結構良い刀だとわかったらしい。
また、刀はジェルトンの伝統の武器であることも聞いた。
帰り際に鍛冶屋はこんなことも言っていた。


「武器は使い込まんと本当に鍛え上げることはできんぞ。
壊れるまで使って、初めてその武器の特徴が見えてくるんだ」


と。


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二人を見送ったあとメルビルの町を歩く。
冒険で使った消耗品の買い出しのためだ。
すると後ろから声がかけられた。
「グレイ!久しぶりだな」
「同じ部隊にいたジャンだよ」
ジャンの親しげな挨拶にグレイはすぐに返事を返した。
「知らんな」
「そんなことは無いだろう」
「あの時、軍を辞めたのは俺をかばうためだったんだろう」
「記憶に無いな」
グレイはそっけない返事を返し、いまにも去ろうとした。
「君は忘れていても俺はしっかり覚えてるぞ」
「まぁいい。今日は冒険者として名高い君に頼みたいことがあるんだ」
「ある女性の護衛をして欲しい」
「女か」
冒険者としての話なら聞かないわけにはいかなかった。
ジャンはくわしい話をグレイに説明しはじめた。


ジャンの話では護衛する女性の名前はクローディア。
ちょっと、いやかなりわけありの女性らしいことがわかった。
ジャンは帝国の兵士のため、その女性の側にずっといるわけには
いかないのだった。
そこで町で運良く見つけたグレイを護衛として彼女につけることを
思い立ったのだった。
グレイは話を聞き、今は冒険も一段落しメルビルでやることも無いので、
引きうけることにした。
「引き受けよう」
グレイのその言葉にジャンの顔が明るくなった。
「引き受けてくれるか。むろん、金は出す」
「ただ、護衛だとは説明しない。陰ながら守って欲しいんだ。」


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メルビルの宿屋の中には一人の女性が待っていた。
「クローディアさん」
ジャンがその女性に呼び掛けた。
彼女、クローディアはジャンの横にいるグレイの顔をみる。
「彼の名前はグレイ。」
「あなたの…そう、ガイドです。ガイドをお連れしました。」
クローディアに護衛ですというわけにはいかないジャンは、
ガイドとだけクローディアに説明した。
「この方がクローディアさんだ」
ジャンはグレイにもクローディアを紹介した。
クローディアのことをあらかじめ聞いていても紹介すらしないのは
おかしいからだ。
「よろしく」
グレイは簡単に挨拶だけを済ました。
「それでは、私はこれで。」
「いつでも宮殿に遊びに来てください。」
ジャンはそうクローディアに告げると、
「後は頼んだぞ!」
グレイにもう一度念をおし、宿屋から宮殿へと戻った。


「行きましょう」
グレイはクローディアにそううながし、宿屋を後にした。


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クローディアは迷いの森の魔女に育てられた。
だが、彼女は魔女ではなかった。
魔女に育てられはしたが、森を守る狩人として弓を使い、
森の動物たちを守る暮らしをしてきた。
動物たちに優しく接し、動物たちもそんなクローディアを慕っていた。
動物にすら慕われるそのやさしさとやわらかな物腰は、
なにか気品のようなものを漂わせていた。


「町をとりあえず案内しましょう」
グレイはとりあえずガイドらしく町の案内を勧める。
クローディアは返事をせず、ただ頷く。
出会ったばかりのガイドだけに、緊張しているのだろう。
雑貨屋、魔法屋、武具屋、そのどれもがクローディアの目には
めずらしく、案内するグレイも少々困惑気味だ。
「なにか、指輪でもプレゼントしますか?」
グレイがそういうとクローディアは首を横に振る。
そして、自分の手にはまっている指輪をグレイに見せた。
「つけているのでいりません…」
小さな声でグレイにそう告げた。
「その指輪はジャンに貰ったものですか?」
グレイは指輪がサンゴで出来た珍しい物だと気づき質問した。
「いえ…私が小さなころから持っていたものだと聞かされています」
「そうですか」
グレイは彼女が迷いの森の魔女に育てられたことを聞いていた。
魔女に育てられるということは生んだ親は別にいるということであり、
彼女はなにかしらの理由があって捨てられたのだとグレイには思われた。


「おい、お前の連れにクローディアという女がいるだろう?」
グレイは突然仮面をつけた男に質問された。
「だったらなんなんだ」
その瞬間その男はグレイ達に斬りかかってきた。
「死ね!」
グレイは古刀で相手の剣を防ぐと、
クローディアを自分の後ろに立たせた。
仮面の男は殺意を剥き出しにし、クローディアへと襲いかかろうとした。
だが、グレイの攻撃で防がれ怒りの矛先をグレイへと向けた。
『影縫い!』
1本の矢がグレイの後ろから飛び、仮面の男の足元へと刺さった。
男は勢いをそがれ、立ち止まった。
『みね打ち!』
そこへグレイが古刀を叩きつけた。
仮面の男は倒れ、気を失ったようだった。
騒ぎを聞きつけた警備隊の数人がこちらへやってくる。
「騒ぎのうちに逃げましょう」
「警備隊に捕まったら我々も何を言われるかわかりません」
グレイとクローディアはその場からメルビルの2Fへと移動した。


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メルビルの2Fには皇帝のいるエリザベス宮殿やエロール神殿、
ウコム神殿や帝国図書館などが建ち、厳格な雰囲気があった。
その一角に宿屋と酒場があり、グレイ達は騒ぎがおさまるまで
酒場で休憩をすることに決めた。
「とりあえず、ここで騒ぎがおさまるまで休みましょう」
グレイはクローディアを席に座らせて飲み物を取りに行く。
飲み物を手にし席に戻り、グレイはクローディアに聞いた。
「さっき、後ろから矢を撃ったのはお前か?」
クローディアは頷く。
「なかなかいい腕をしているな」
その言葉にクローディアは顔を赤くし、下を向く。
グレイはクローディアの腕に感心していた。
あれほどの手練れの足元に簡単に矢を打ちこみ、勢いをそぐには
相当な腕がいることを冒険者をやっているグレイは知っていた。
「それにしてもなぜお前が狙われているんだ?」
気になったことをクローディアに聞いた。
「わからない…」
クローディアは本当にわからないようだった。
グレイは内心ジャンが面倒なものを押しつけていったと思った。
だが、反面この女を守っていれば退屈はしないだろうと思っていた。


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ふと、グレイの目に酒場の張り紙が目に止まった。
『うちの娘を探して!夜中に突然消えてしまいました。』
その紙の下にメルビル入り口宿屋コロンボと書いてある。
その紙に冒険者としての血が騒いだのかグレイは
クローディアも連れて宿屋コロンボへと向かった。


「娘のことだが…」
グレイのその言葉に、
「お前がさらったのか!」
宿屋の主人は語気を荒くして問い詰めてきた。
「違う。酒場の張り紙を見た」
それを聞き、主人は肩を落とす。
「そうか。娘が心配なんでな、すまん」
「話を聞かせてもらおう」


酒場の主人の話では夜中にいつの間にかいなくなっており、
いつもの夜遊びだと思っていたが、二日経っても帰ってこないため
酒場に張り紙をだしたということだった。
「出来の悪い娘ですが、一人娘なんです」
酒場の主人は涙ながらにグレイに訴える。
「もっと私が構ってやれば良かった」
「とにかく探してみよう。だが、期待はするな」
グレイは一応最悪のことを考えるよう宿屋の主人に告げる。
「お願いします」
それでも宿屋の主人はグレイに頼みこんだ。


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町の人たちに話を聞いてまわるが他に起きている
変死事件の方が騒ぎが大きいのか、情報は掴めなかった。
道具屋の娘からも犯人探しを受けることになったグレイは
引き続き町の2Fでも話を聞いてまわった。
そこで、その変死事件の犯人らしき人物を2Fの道具屋の主人の
ウォードが知っていた。
暗く赤いローブをまとった連中が呪いをかけたい相手はいないか?と
小銭をたかりにきたという話だった。
グレイとクローディアは夜になるのを待ち、そういう連中がいないか
見張ることにしたのだった。


夜になり、辺りが暗くなり人通りもなくなる頃にその人物は現れた。
後をつけるとメルビルの下水道へと入り、奥へ消えていった。
足元に気を付けながら奥へと進むとなにやら声がする場所があった。


「恐怖と苦痛の主、憎悪と腐敗を呼ぶ者、闘争し支配する力」
「殺戮と破壊の王。偉大なるサルーインよ!」
暗く赤いローブをつけた神官が祭壇で叫ぶ。
それを影からグレイは覗きながらつぶやく。
サルーインだと。そんなものに祈りを捧げて」
「何かが起こると思っているのか、こいつらは」
神官は祭壇の上の娘へ近づくと、
「この娘の若き心臓を捧げます。我らに力を与えたまえ」
グレイはその娘を見てピーンときた。
あれが宿屋の娘に違いない。
「やめろ」
グレイは神官を制止し、娘を生贄にするのを止める。
「神を恐れぬ不届き者め。皆のものこやつの血をサルーインに捧げよ!」
その言葉を合図に他の神官達もこちらに敵意を向ける。
『ウィークネス!』
神官の一人が放った邪術でグレイは力を奪われる。
「ぐぅっ…」
そこにクローディアが援護をする。
『でたらめ矢!』
矢は神官数人に命中し、動けなくする。
「グレイ!」
クローディアはその間にグレイに駆け寄る。
「大丈夫だ、あの赤いローブを着たやつを狙うんだ」
「いくぞ!」
グレイはかけ声と共に神官へと斬りかかる。
『切り返し!』
神官に新たな技を使い、
『狙い射ち!』
そこにクローディアの矢が命中する。
二人の攻撃が次々に当たり、赤いローブの神官が倒れる。
他の神官たちはいつの間にか消えていた。


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助けた娘はやはり宿屋の娘で、もう夜遊びはしないと誓っていた。
これだけ恐ろしい目にあったのだから仕方ないだろう。
宿屋の主人からお礼を貰った。
また、あの神官たちがやはり最近の変死事件の犯人であり、
それを倒したグレイ達には皇帝陛下から褒美がでた。


「俺が守るつもりが助けられたな…」
グレイはメルビルから延びる街道を歩きながら、
クローディアに聞こえないようにつぶやく。
「なにかいいましたか?」
「いや」
クローディアはそんなグレイの前を元気に歩きはじめた。
グレイとの協力した戦闘でかなり打ち解けたようだ。
「これからどこに行くの?」
「そうだな、ローバーンを経由してブルエーレに行こう」
その言葉にクローディアは振り向き嬉しそうな声を上げる。
「もしかして船?」
「あぁ、船で一度ローザリアにでも行こう」
「私、船って初めて乗るの」
そんなクローディアを見ながらグレイはメルビルを後にした。